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動画制作会社の違いは何で決まるのか|強みの異なる6社を読み比べる

制作会社のサイトはどこも同じ言葉が並びます。公開情報だけを根拠に、6社が何に重心を置いているかと、見積もりの前に聞いておくことを書きました。順位はつけていません。

記事で取り上げる動画制作会社6社の公式サイトのファーストビューを並べた画像

動画制作会社のサイトを6社ぶん開くと、たいてい同じ言葉が並びます。企画から納品まで一気通貫。マーケティング視点での設計。豊富な制作実績。どれも本当のことなのでしょうが、6社が揃って同じ看板を掲げている以上、その看板からは選ぶ手がかりが出てきません。

違いが出るのは、その会社が何に重心を置いているかです。表現の引き出しに重心がある会社、出したあとの運用に重心がある会社、大量の案件を同じ品質でさばく体制に重心がある会社、企業のブランドという文脈のほうに重心がある会社。発注してから見える景色は、この置き場所でだいぶ変わります。

以下に、置き場所の違う6社を並べました。順位はつけていません。いま社内にある案件がどの重心に近いか、それを当てにいく記事として読んでください。

「実績豊富」から読み取れるものは少ない

制作実績1万本、取引企業2,000社。こうした数字は各社が公開していますし、並べて比べようと思えば比べられます。ただ、数字が大きいことと、あなたの1本がうまくいくことは別の話です。

年間1,500本という数字は、1本あたりに割ける時間がそれだけ短いという意味にもなれば、同じ形の案件を何度も通した手順が社内に残っているという意味にもなります。同じ数字が、読む人の求めているものによってリスクにも安心材料にも転ぶ。だから数字そのものを比べても、順番はつきません。

とはいえ、発注のたびに各社の数字をここまで読み解くのは骨が折れるでしょう。もう少し粗い解像度で構いません。先に重心のほうを見たほうが早い。

違いが出る4つの重心

表現に重心がある会社。 アニメーション、3DCG、実写と手法の引き出しが多く、伝えたい中身に合わせて手法のほうを選べます。形のないサービスや、社内の業務フローのように、カメラを向けても絵にならない題材でこの差が出る。

運用に重心がある会社。 作ったあと、どこに出して、どう回すか。広告運用やYouTubeチャンネルの運用まで同じ会社が引き受けます。1本納品して終わりにせず、出稿してから数字を見て直していく進め方を前提にしているところ。

体制に重心がある会社。 年間の制作本数が多く、社内のプロデューサーと外部クリエイターの組み合わせで回しています。担当が誰になっても出てくるものが大きくは振れないので、本数がまとまって必要な案件や、公開日が動かせない案件を預けやすい。

文脈に重心がある会社。 動画そのものより、その動画が置かれる企業ブランドや採用活動のほうから設計します。動画は成果物のひとつという扱いで、ほかの制作物と並べて整合を取る。全社的なリブランディングのように、動画1本では終わらない話に向いています。

どの会社も4つとも一定はやっているので、これは排他な分類ではありません。ただ、サイトのいちばん目立つ場所に何を書いているかと、公開している数字が何を数えた数字かを見れば、どこに体重が乗っているかはだいたい見当がつきます。

もうひとつの軸:誰が実際に手を動かすのか

重心とは別に、見積もりの金額に直接効いてくる軸がもうひとつあります。制作を社内で持っているか、外部のクリエイターに出しているか、です。

これは各社が自分から公開しています。下の6社でいえば、登録クリエイター1万人超、800名以上、1,000名超、14,000名以上といった数字が並ぶ。ネットワークの大きさを強みとして掲げている会社は、案件が来てから最適な人を当てるという作り方をしているわけです。

この作り方で買えるものは、はっきりしています。扱える手法の幅、同時に動かせる本数、急に人を増やせること。社内の人数では届かない規模の案件が受けられます。

一方で、発注する側から見ると、打ち合わせに出てくる人と実際に編集する人が別人になります。伝言が1段増える。そして見積もりの中には、その調整をしている人の工数が乗ります。これは中抜きというより、進行管理という仕事に値段がついている状態です。値段に見合う進行管理なら払う価値がありますし、見合わなければ払いすぎになる。どちらなのかは、会社ではなく案件ごとに変わります。

社内に制作を持っている会社は、その逆です。伝言が減り、費用の内訳も読みやすい。代わりに、一度に動かせる本数と手法の幅で天井が来ます。

どちらが安いとは言えません。ただ、見積もりを比べる前に一度聞いておくと、金額の意味が変わります。**この案件で実際に手を動かすのは、御社の社内の方ですか。**答えがどちらでも構いません。同じ100万円が、何に対する100万円なのかが見えるようになります。

発注前に、社内で決めておくこと

次にしてほしいこと。 資料請求なのか、応募なのか、社内の理解が進めばそれでいいのか。ここが決まっていないと、制作会社の側は「かっこいい動画」を作るしかなくなります。出来上がったものを見て何かが違うと感じる案件は、たいてい発注の時点でここが空白のまま進んでいる。

どこに出すのか。 展示会のブースで音を出さずに流すのか、採用サイトの一番上に置くのか、広告として配信するのか。尺も構成も、置き場所が決まってから逆算するものです。

最終的に決める人。 制作会社を選ぶ段階では気になりませんが、初稿が出たあたりから効いてきます。決裁者が途中から議論に入ってくる案件は、たいてい撮り直しか作り直しになる。

ここが固まっていれば、どの制作会社と話しても議論は前に進みます。逆に固まっていないと、どこに頼んでも同じところで止まります。

強みが異なる6社

掲載の基準

先に基準を書いておきます。

  • 公開情報だけで、強みを他社と言い分けられること
  • 制作の実績や体制を、自社サイトなどで具体的に公開していること
  • 6社のあいだで重心が重ならないこと

「優れている順」ではありません。この記事を運営しているのは動画制作会社の株式会社OrangeJacketで、当社も6社目として同じ枠に並べています。同業を外して書けば中立になるかというと、そうはならない。並べたうえで順位をつけず、当社を選ばないほうがいい場合も他社と同じだけ書く。それが、運営会社が同業である媒体にできる唯一の作法だと考えました。

各社の情報は、2026年8月時点で各社が公開している記載にもとづきます。

Crevo株式会社

重心:表現の引き出し

Crevo株式会社 公式サイトのファーストビュー
Crevo株式会社 公式サイト(2026年8月時点)
所在地東京都港区六本木4-8-5 和幸ビル502
設立2012年6月5日
代表者水口 仁志
事業内容動画制作・動画コンサルティング業

アニメーション、実写、3DCGを横断して扱う制作会社です。公式サイトでは制作実績10,000件以上、取引2,000社以上、国内外1万人超のクリエイターネットワークを公開しています。

選ぶ側にとって意味があるのは、このうちクリエイター数のほうだと私たちは読みました。1万人という規模を抱えていれば、社内の誰が空いているかで手法が決まってしまう事態は避けられます。アニメーションでいくか実写でいくかを、制作側の都合ではなく題材のほうから決められる会社。

こんな依頼に向きます 形のないサービスの説明、業務フローや仕組みの図解、カメラを向けても絵にならない題材。手法をこちらで指定せず、「これを伝えたい」から相談したい場合。

公式サイト:https://crevo.jp/

株式会社プルークス

重心:出したあとの運用

株式会社プルークス 公式サイトのファーストビュー
株式会社プルークス 公式サイト(2026年8月時点)
所在地東京都中央区日本橋大伝馬町14-17 大伝馬町千歳ビル4階
代表者代表取締役社長 丸山 博幸
事業内容動画制作・映像制作、縦型ショートドラマ、広告運用、ライブ配信代行、Webサイト制作、YouTube/TikTokコンサル・運用代行

制作実績は2,000社8,000本以上、クリエイターネットワークは1,000名超。読みどころは、Google・Yahoo! JAPANの正規広告代理店であることを事業内容に併記している点です。

制作会社が広告代理店の資格まで持っている例はそれほど多くありません。動画を納品したあと、配信して数字を見て次の一手を決めるところまで同じ会社の中で完結するので、制作費と広告費のどちらに予算を寄せるかという判断が、社をまたいで割れずに済みます。

こんな依頼に向きます 広告として配信する前提の動画。複数パターンを回しながら当たりを探す進め方。動画とYouTube・TikTokの運用をまとめて外に出したい場合。

公式サイト:https://proox.co.jp/

株式会社LOCUS

重心:量と再現性

株式会社LOCUS 公式サイトのファーストビュー
株式会社LOCUS 公式サイト(2026年8月時点)
所在地東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント18階
設立2010年4月2日
代表者瀧 良太
事業内容動画制作・映像制作、動画コンサルティング、採用コンサルティング、運用型テレビCM「FAST CM」、YouTubeチャンネルコンサルティング、動画クリエイターマッチング「ムビサポ」ほか

累計20,000本以上、年間1,500本以上、取引2,000社以上、クリエイター800名以上。公式サイトはリピート率70%以上も掲げています。

年間1,500本を営業日で割ると1日6本になります。この規模を回している会社は案件ごとに進め方を発明していないので、担当が誰になっても出てくるものが大きくは振れません。手順が固まっているぶん冒険はしにくく、代わりに外れも出にくい。

こんな依頼に向きます シリーズものや多言語版など、本数がまとまって必要な案件。公開日が動かせない案件。社内に動画の発注経験が少なく、進行ごと任せたい場合。

公式サイト:https://www.locus-inc.co.jp/

株式会社サムシングファン

重心:クリエイターの供給力

株式会社サムシングファンのブランド画像
株式会社サムシングファン 公式サイト(2026年8月時点)
拠点東京(千代田区神田錦町)/大阪(福島区)/名古屋(東区)
設立2003年
事業内容クリエイターエージェンシー、動画DX®・映像制作、クロスメディア戦略支援

年間映像制作7,000本以上、登録動画クリエイター14,000名以上、年間ライブ配信250件以上。取引企業は約600社と公開しています。

この会社の性格が出ているのは、取引600社に対して年間7,000本という比率のほうです。1社あたりの本数が多い。単発で受けて終わる取引ではなく、継続して発注し続けている顧客が主力だということでしょう。クリエイターエージェンシー事業を持っていることも、この比率と噛み合います。

関西・中京に拠点があるのは、東京以外での撮影が続く案件では実務上の差になります。

こんな依頼に向きます 毎月あるいは毎週、継続して動画が必要になる運用。ライブ配信を含む案件。関西・中京圏での撮影が発生する案件。

公式サイト:https://www.somethingfun.co.jp/

株式会社揚羽

重心:ブランドという文脈

株式会社揚羽 公式サイトのファーストビュー
株式会社揚羽 公式サイト(2026年8月時点)
所在地東京都中央区八丁堀2-12-7 八丁堀トーセイビルⅢ 3F
設立2001年8月
代表者代表取締役社長 湊 剛宏
事業内容ブランディング支援全般(コーポレート/インナー/サステナビリティ/採用ブランディング、デジタルマーケティング)

東証グロース市場上場(証券コード9330)。920社を超える企業のブランディング支援を公開しています。

6社のなかで、自社を動画制作会社と名乗っていない唯一の会社です。事業の入口はブランディングにあり、動画はその中の手段のひとつという建て付け。動画を1本だけ発注したい会社にとっては話が大きくなりすぎますが、動画と採用サイトとパンフレットがばらばらの顔をしている状態を直したいなら、この位置にいる会社のほうが噛み合います。

こんな依頼に向きます 採用ブランディングや理念の刷新に伴う動画。複数の制作物のトーンを揃えたい案件。上場企業の社内稟議に耐える体制を求める場合。

公式サイト:https://www.ageha.tv/

株式会社OrangeJacket

重心:制作を社内に持ったまま運用まで見ること

株式会社OrangeJacket 公式サイトのファーストビュー
株式会社OrangeJacket 公式サイト(2026年8月時点)
所在地東京都北区浮間2-22-9
設立2024年7月
代表者山田 将貴
事業内容映像制作/SNS運用代行/YouTube運用代行

この記事を運営している会社です。取引実績は三菱倉庫、LUUP、アルビレックス新潟、アサヒサンクリーン、FLIE ONEなど。東京商工会議所の社長ネットに載せたプロフィールでは、制作実績1,000本以上、広告代理店からのリピート率80%超を挙げています。

先に不利なほうから。設立は2024年7月で、6社のなかでいちばん社歴が短い。累計20,000本のLOCUSや年7,000本のサムシングファンとは、こなしている量の桁が違います。同時に何十本も動かす案件や、社歴そのものを稟議に通したい発注なら、当社は候補から外して構いません。

重心があるのは、制作を社内に持ったまま運用まで見ている点です。前の章の質問に当社が答えるなら「社内です」になります。窓口と手を動かす人間が同じなので、仕様が変わる案件や公開直前の差し替えで返事が早い。代表はAfter Effects中心のYouTubeチャンネル「Raccon Effect」(登録1.06万人)とAe特化コミュニティ「Aechat」を運営していて、作る側として業界に発信してきた蓄積があります。自社でもビデオポッドキャスト形式のYouTube運用を回しているので、企業がYouTubeを続けるときにどこで止まるかは、自分の運用として知っています。

こんな依頼に向きます 撮影した素材をSNSにも展開する前提の案件。本編と切り出しをまとめて発注したい場合。仕様変更が読めない案件。窓口と作り手を分けたくない場合。

公式サイト:https://orangejacket.co.jp/

6社を並べる

会社名重心公開している主な数字相談しやすい案件
Crevo株式会社表現の引き出し制作10,000件以上/クリエイター1万人超手法から一緒に決めたい
株式会社プルークス出したあとの運用2,000社8,000本以上/広告正規代理店配信して数字を見る前提
株式会社LOCUS量と再現性累計20,000本/年1,500本/リピート70%以上本数が要る・期日が動かせない
株式会社サムシングファンクリエイターの供給力年7,000本/登録14,000名/3拠点継続運用・配信・関西中京
株式会社揚羽ブランドという文脈920社超/東証グロース上場制作物全体の整合を取りたい
株式会社OrangeJacket制作を社内に持つ制作1,000本以上/代理店リピート80%超窓口と作り手を分けたくない

表にすると横並びに見えますが、この6社は同じ土俵で競っているわけではありません。1本のアニメーションが欲しい会社にとって揚羽は過剰ですし、全社のブランドを作り直したい会社にとってCrevoは守備範囲が狭い。当社は社歴が短く、量では他の5社に並びません。上の表は優劣ではなく、担当領域の地図として見てください。

ここから1社に絞るには

まず、社内で決めた「見た人に何をしてほしいか」を重心に当ててみてください。応募を増やしたいなら文脈寄り、資料請求を増やしたいなら運用寄り、社内理解を進めたいなら表現寄りに近いはずです。

そのうえで候補を2社に絞り、同じ条件で見積もりを取ります。このとき、条件のほうを先に固定しておくのがコツです。尺・本数・撮影日数・納品形式・修正回数。ここが揃っていない見積もりを2枚並べても、金額の差が何の差なのかは読み取れません。安いほうを選んだつもりが、修正2回目から追加費用だったという話は珍しくないでしょう。

見積もりが出たら、金額より先に、こちらの条件が正しく読み取られているかを見てください。条件を取り違えたまま出てきた見積もりは、制作が始まってからも同じずれ方をします。そして、実際に手を動かすのが誰なのかも、そのときに聞いておく。

この記事でできていないこと

6社の情報は、各社が公開している記載だけを見て書きました。取材はしていません。実際の進行の速さ、担当者との相性、修正への対応。発注してみないと分からない部分について、この記事は何も言えていない。

数字も各社の自己申告です。集計の期間も定義も会社ごとに違うので、10,000件と20,000本を直接比べても意味はないでしょう。その会社が何を誇りに思っているか、という指標として読むのが妥当なところだと考えています。

そして当社の枠だけは、当社が自分で書いています。他の5社と同じ条件で書いたつもりですが、同じ条件で読まれるとは限らない。そこは割り引いてください。判断がつかないときの相談先として、名前を置いておきます。